「わたしはいい子じゃないからサンタは来ない」彼女の真意は?

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今日はクリスマスイブ。この日になると必ず思い出されるのが、生徒の発したこの言葉です。

自宅で子どもを対象にした英語レッスンをしている私ですが、毎年12月最後のレッスンでは私がサンタ役になり生徒達に気持ちばかりのプレゼントを渡しています。渡す前には必ず“Are you a good boy(or girl)?”と聞いています。皆プレゼント欲しさに”Yes!Yes!”と即答するのですが、1人の女の子(7才)だけは答えられずにずっと黙っていました。

最初は意味がわからないのかな?と思い「○○ちゃんはいい子かな?」と聞くと、しばらく首を傾げたまま真剣に考え、その後寂しそうに首を振りながら

No.”

と答えたのです。

 

私がいい子じゃない理由

とても真面目にレッスンを受けているこの女の子。控えめなので英語を話す声は小さいものの、私の方をまっすぐ見て話を聞いてくれる、私から見るとひじょうにいい子なのです。

そんな彼女からこの答えが出たので、さすがに私も英語そっちのけで「そんな事ないよ!!○○ちゃんはいい子よ!なんでNoだと思うの?」と聞くと

「いつもママに怒られてるから・・。ママは私がもっといい子になってほしいと思っているから・・。」

と少し恥ずかしそうに話してくれました。

子どもは親に喜んでほしくて頑張っている

沢山の子ども達を見てきた中で強く感じるのは、全ての子どもが親に喜んでほしい、親の笑顔が見たいと思って頑張っている事。だから、本人の意志に関係なく親の希望で塾や習い事をやらされても、さほど反抗もせず習い始める子が多いように感じます。それをやっていればパパやママが安心して喜んでくれるからです。

もちろん親の勧めで始めた事がその子にバッチリはまってその後大成するパターンもあります。しかしある程度やらせてみて本人がそこに興味関心を持たない、または全く楽しそうでない場合は無理に続けないでほしいのです。

実際、私の英語レッスンでも全くやる気がなさそうな子が1人いました。その様子を何度か見ていた私は「やりたくなかったら無理して通わなくてもいいんだよ」と言ってみました。なぜなら、本人が心を閉じている間はいくら教えても吸収していきませんし、それどころか無理に続ける事で英語そのものが嫌いになる可能性が高いからです。

その声かけに対して返ってきた答えは

わたし英語はやめないの。だってママが頑張りなさいって言うから・・」でした。

この子は未だ辞めずに頑張って通っています。最近はお友達も増えたため少し楽しくなってきた様子ですが、もし以前のように興味を示さない状況になった時は親御さんに相談しようと思っています。

子どもの体感時間は大人の何倍も長い

わが子が「習い事が面白くないから辞めたい」と言ってきた時、親はつい「あと1年頑張れば何か変わるかもしれないから、もう少し頑張ってみない?」と現状維持を勧めがちです。せっかくここまで習ってきたのだから辞めてはもったいない、一次的に気分が下がっただけだろう・・と大人の勝手な解釈をしてしまうのでしょう。

しかしこの『1年』の体感時間は大人と子どもで大きく違うようです。心理学者ジャネーの法則によると「時間の心理的長さは年齢に反比例する」と言われています。つまり、歳を取るにつれて時間が経つのが早く感じられるという事です。これは皆さんにも体感があるのではないでしょうか。

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ここで先ほど習い事を辞めたいと言った子どもに対して親が返した言葉を考えてみます。

大人が「あと1年頑張りなさい」と言っても、それを耐える子ども達にとってその1年は5年にも6年にも感じられるのです。嫌な事を5年~6年我慢できますか?大人でもかなりの忍耐力を要する長さです。

そしてこれがもしいじめによる悩みだったらどうでしょうか。自ら「頑張ってみる」という意志があるなら親として応援し支える選択もあるでしょう。しかし本人が学校に行きたくない程悩んでいる場合、大人の感覚で子どもにクラス替えまでの1年間耐えさせるのはあまりに酷な判断なのです。この心理的時間感覚は子育ての中で特に意識してあげたい一面です。

平日毎日習い事で埋まっている子どもは今や珍しくありません。彼らはその全ての習い事を楽しんで行っているでしょうか?親のために無理して頑張っていないでしょうか?
もうすぐ2015年も終わります。冬休みに親子でこの1年を振り返る時間を取り、子どもの本音に耳を傾け、来年以降わが子が好きな事に注力できるように習い事を調整してみてはいかがでしょうか?

最後に。「わたしはいい子じゃない」と言った女の子にはその後大きな変化がありました。
私から彼女へは「いい子じゃないとかできないって言っていると本当にそうなってしまうから、不安になったら「私はできるできる!」っておまじないのように言ってごらん。きっとできるようになるよ♪」と伝えたところ、レッスン中も「できるできる」と小さな声でつぶやきながら頑張り、今ではクラス一英語が上手くなりお友達に教えてあげる程自信を持てるようになっています。何より表情がグンと明るくなったのが一番の変化です!自ら発する言葉の影響力もあらためて教えられた気がしました。