読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

金メダリストを創出したコーチの指導法が選手を伸ばす 竹村コーチの場合

 f:id:makomako12i-color:20150811224045j:plain

前回は競泳女子200mバタフライで金メダリストになった星奈津美選手の指導者平井伯昌コーチに注目しましたが、続いて今回は競泳女子200m平泳ぎで金メダルを獲った渡部香生子選手の指導者竹村吉昭コーチの指導法についてです。

竹村コーチの指導モットー

竹村コーチが30年以上の指導経験を通して最も大切にしているのは『選手一人ひとりを丁寧に見る事』だと言います。「特に中学生や高校生の女子の場合『あなたの事をちゃんと見ていますよ』と示してあげるのが大事ですね。全員に『今日はこういう練習をする』とメニューを与えるだけでなく、そこからもう一歩踏み込み『あなたはこうした方がいいね』『君の場合はこうだよ』と個別の対応が必要だと思う」と。

更に心がけているのが言葉かけの仕方です。指導者だからと上から一方的に決めつけた言い方はせず「こういう事ができるといいね。こうしてみたらどうだろう」と、その練習の目的を示しながらあくまでも提案する姿勢で働きかけているそうです。

「我々の年代と今の若者では価値観がまるで違うんです。頭ごなしに『頑張りなさい』と言っても『なんで?』となる訳です。大事なのは本人に『なるほど。じゃあちょっと頑張ってみようかな』と思わせる事。なぜ大事なのかを理解すれば今の子たちは一生懸命やってくれますから」(スポーツコミュニケーションズインタビューより抜粋)

渡部選手のi-color

渡部香生子選手のi-colorは人志向のオリーブ。人志向のアスリートは指導者との関係性において、他の志向のアスリートと大きな違いがあります。人志向のアスリートが指導者に求めるのは、自分と指導者との間に何の隠し事もなく、公私共に全てを委ねられる程の強固な信頼関係です。そして人志向タイプは、自分1人の成功のために頑張るよりも、心から信頼できる人のために頑張るというベクトルの方がパワーが出るのです。

同じi-colorオリーブのアスリートにフィギュアスケート高橋大輔選手がいます。彼は長光歌子コーチの自宅に下宿し寝食を共に過ごす中でコーチとの信頼関係を築いていきました。時にはうまく行かずに切れた発言をしたり弱音を吐いたり、そんな自分の姿を全て受け止めてくれる指導者に心を開くタイプなのです。

渡部選手の気持ちに寄り添った竹村コーチ

渡部選手は15歳でロンドンオリンピックに出場し注目を浴びますが、翌年からスランプに陥り、日本選手権・世界水泳共に不本意な成績を残してしまいます。そして思うような泳ぎが出来なかった後は人目を憚らずに号泣。そんな彼女を救うべく、以前の指導者が竹村コーチに彼女を託したそうです。

竹村コーチはまず「彼女に『私を見てくれている』とわかってもらう事が重要」と考え、公私共に出来る限り渡部選手と共に過ごしたのです。登校前には一緒に30分の散歩をし、合宿では1日3食常に一緒に食事をし、筋トレ中も会話をしながら取り組んだといいます。渡部選手が好きな歌も好きなゲームも知っている竹村コーチはこうして渡部選手と打ち解け、『言いたい事を言い合える関係』を築いたのです。

この取り組みはi-color的見解からも、人志向タイプの渡部選手に最も適した接し方だったと感じます。

こうして渡部選手はメンタルが安定し始めると練習にも前向きになっていったと言います。時には思い通りの泳ぎが出来ず不機嫌になっても、竹村コーチはストレートに怒る事は決してせず、「出来なくてもいいんだよ。ただやろうとしようよ」と彼女の気持ちに歩み寄る指導を辛抱強く続けたのです。

そして彼女にお願いしたのは「辛い時こそ笑顔でいよう」という事。試合スタート直前、渡部選手は必ず観客席の竹村コーチの方を見ます。すると竹村コーチはもれなく満面の笑みを返してくれるのです。これがi-colorオリーブ繊細な心をどれだけ勇気づけた事でしょう!

f:id:makomako12i-color:20150811225004j:plain

そして今回の世界大会直前の海外合宿中、彼女はプレッシャーから「自信がない」とコーチに本音を漏らします。その時竹村コーチは「休もう」と言って浜辺へ連れて行き

「悪いように考えても結果的にどうなるかはわからない。良い方に考えた方が楽だよ」

と優しくアドバイスしたそうです。良き父親のようであり恋人のようでもある寄り添いぶりです。こうしてまた彼女の気持ちに安定感が戻り、それと共に練習タイムも急激に上がって行ったと言います。

金メダル受賞後の表情

そして渡部選手は今回の世界水泳200m平泳ぎで見事金メダルを獲得しました。試合直後のインタビューでは最初から最後まで泣きじゃくりながらの返答でした。その時の様子がこれです。↓

f:id:makomako12i-color:20150811230722j:plain

渡部香生子選手、インタビュアーの寺川綾さん、メイン進行役の松岡修造さん、実は3人共にi-colorは人志向グループです。そして3人共に涙、涙の会見でした(笑)
本当に感情を素直に表情に出す愛すべきタイプの人達です。

この後竹村コーチと再会した瞬間、コーチは彼女を抱きしめ頭を撫でて褒め称え、渡部選手は涙を浮かべながらも笑顔で金メダルをコーチの首に懸けていました。最高に輝いた、そして微笑ましい師弟の姿を見せてもらえました。

まとめ

星奈津美選手の指導者平井伯昌氏と渡部香生子選手の指導者竹村吉昭氏。お2人に共通するのは『選手の個性に合わせた言葉かけをしながらの指導』でした。

同じ事を教えるにしても、受けとめる選手の考え方は一人ひとり違うもの。しかしスポーツによっては『監督やコーチの指導が絶対』の風習が未だ残り、選手は納得がいかなくても一言も反論できずに従っていると聞きます。不満を募らせたまま練習するのと、上手にメンタルアップされやる気になって練習するのとでは、結果は言うまでもなく後者の方が断然良いでしょう。

指導者も選手も目指すところが同じなら、無理矢理指導者のやり方を押しつけるより、このお2人のように選手を上手にやる気にさせて伸ばした方が、両者共に納得できる結果に早く繋がるのです。

スポーツ指導も勉強指導も子育ても、1人でも多くの人にこのお2人のやり方を見習ってほしいと強く感じた次第です。


<前回のブログ>

*********************************************

2016年より下記ホームページにて引き続き
ブログを更新しています。
是非クリックしてご覧ください!

http://makokouno.main.jp/wp/blog/